はじめに......
第2回では、太陽光発電のエネルギー源である「太陽光の特徴」や
「なぜ日射量を計測する必要があるのか」についてお届けしました。
今回は、太陽光発電システムに導入されることの多い、
「日射計の種類や特徴、設置方法」についてご紹介いたします。
日射量の計測
日射量を計測する際には、地表に降り注ぐ太陽エネルギー(日射)を熱量や電気量に変換し測定するという方法が採られています。また、日射には「直達」と「散乱」、これらを合計した「全天」があり各日射強度の関係は次式①で表されます。
全天、直達、散乱の各日射量は切り分けて計測することができ、それぞれを対象とした日射計が多数市販されています。
日射計の種類と主な特徴
<全天日射計>
全天日射計には、空全体から降り注ぐ光を取り込むためのドーム型のガラス窓があり、その中に受光部が設置されています。受光部には大きさの異なる黒色の部品が2つあり、光を受けると両部品間に温度差が生じます。それを熱電素子(サーモパイル)が電位差として測定し、その値を日射量に換算するという原理で計測が行われます。
その他に受光部に光電素子を配置し、光を受けて発生した電気量を日射量に換算するタイプもあります。
<直達日射計>
直達日射は、太陽から直線的に到達する日射です。そのため1日を通じて計測するためには、太陽を追いかけながら計測する必要があります。直達日射計は、そのための太陽の追尾装置を備えています。
また、極力、散乱日射の排除された直達日射のみを計測するため、内部の黒い、細長い筒を太陽に向け、その筒を通過した日射量を熱電素子等で計測します。このような構造であるため、直達日射計は他の日射計よりも大きく高価な装置となっています。
<散乱日射計>
全天日射と直達日射を計測していれば、式①より、散乱日射を計算で求めることができますが、全天日射計に直射日光(直達日射)が当たらないようにすれば、散乱日射を直接計測できます。
直射日光を遮る方法として、太陽の追尾装置を利用し日射計が常に日陰となるように障壁(日傘)を動かすような装置等が市販されています。
太陽光発電システムで最も一般的に利用されているのは、地表に到達する日射の全量を計測し、
かつ可動部が無くシンプルな全天日射計です。
日射量の計測
全天・直達・散乱日射には、式①のような関係がありますが、実際の計測環境では、周囲の建造物や地表・雲等による反射光が存在するため、各日射量の関係が完全には式①に当てはまらないことが多々あります。
そのような環境下で、太陽電池パネルにあたっている日射量をより正確に計測するため、太陽電池パネルそのもの(パネルの外側)に全天日射計を設置する方法がよく採用されています。この場合、日射計は太陽電池パネルと同じ傾きで設置され、そのようにして計測された日射を「傾斜面日射」と呼びます。当然ながら、太陽電池パネルの向き(方位)によって1日の傾斜面日射の変化に違いがあり、真東に向けて設置した場合は10時前後に、真西なら14時前後に日射量のピークが現れます。
一方、地面に水平な面に全天日射計を設置する場合もあります。 そのようにして計測された日射を「水平面日射」と呼び、その計測値を発電所を代表する日射量とすることがあります。
太陽電池パネルに日射計を設置する際は、日射計の影がパネルにかからないような位置に、パネルと同じ角度で設置することが重要です。
また、NEDO※のWebサイトには、国内の任意の地点における各時間の方位角別・傾斜角別の日射量を算出できるデータベースが公開されていますので、設置した日射計の方位角・傾斜角を正確に把握した上でそのデータベースと比較すれば、日射が正しく計測できているかどうかを確認することができます。
※ NEDO:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
まとめ
最後に、今回のコラムの要点をまとめます。
- 1.日射量の計測方法は?
- 地表に降り注ぐ太陽エネルギー(日射)を熱量や電気量に変換し、測定するという方法が採られています。その他に受光部分に光電子素子を配置し、光を受けて発生した電気量を日射量に換算するタイプもあります。
- 2.日射計の種類
- 日射計には、全天日射計・直達日射計・散乱日射計がありますが、太陽光発電システムで最も一般的に利用されているのは、地表に到達する日射の全量を計測し、かつ可動部が無くシンプルな全天日射計です。
- 3.日射計の設置方法
- 太陽電池パネルにあたっている日射量をより正確に知るためには、傾斜面日射を計測します。 太陽電池パネルに日射計を設置する際は、日射計の影がパネルにかからないような位置に、パネルと同じ角度で設置することが重要です。
第3回のコラムは太陽光の特徴とその計測の必要性についてお届けいたしました。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。